いまとなってはかなり前のことだが、ぼくは初めての海外旅行が2012年の夏だったことを記憶している。
どうしてはっきり覚えているかというと、そのころ日本の尖閣国有化をきっかけに日本と中国の対立が激化していたからである。
僕と友人は格安航空券の乗り換えで立ち寄った上海で(反日デモ隊が日本のお店や製品を壊していたあの上海)、「日本人だとバレたらやばいかも」と思いながら尖閣問題について報道するスクリーンがたくさんある地下鉄に無言で1時間のった。
奇しくも、その日は日中戦争に関連した中国の「国恥記念日」でもあった。
それから6年後ぼくは中国の大学院へと進学した。
するとよくセンシティブな部分を聞かれる。
「日本人なのに中国にいて大丈夫なの?」っていう質問。
やはり中国は日本との歴史のせいからか反日の人が多いというイメージ。
でもどういうわけかぼくは日本人差別とか嫌なことを経験したことがない。
日本人だとバレても普通かむしろ歓迎されることのほうが多い。
みんな反日のはずだったよね?
ぼくはたまたまラッキーだっただけなのか。
なぜなのか。謎だ。
それなら中国に長く住んでいる日本人に直接きいてみようということで、各地の日本人にインタビューして真相を考えることにした。
名付けて「ミドルキングダムの日本人」
いったい日本人は中国でどんな経験をしているのか。