桂林市陽朔県の中心部・西街。特に西洋系の旅人が多いことで有名。西街には、レストランやバー、お土産屋、買い物する場所などがいっぱい軒を連ねていてなんとなく歩き回るのがおもしろい。陽朔に来る観光客は、昼に郊外にある奇峰を見に行き、夜は西街を散策する。
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年末年始に訪れていたアメリカから1月8日に中国に戻ってきた。そして、2週間ほど中断していた中国旅を一刻も早く再開するため、一気に桂林市の陽朔県まで入った。中国はとにかく巨大で、その全ての省と全ての世界遺産を訪問するとなるとかなり時間がかかるので、休んでいる暇はなかった。
陽朔の宿泊先までには、アメリカから飛行機に2回とバスに1回乗り、最後はバスターミナルから夜道を30分ほど歩いて到着した。かなり移動に時間がかかったので夜も更けて疲れていたが、アメリカに行って以降それまで悩まされていた咳は完璧に治っていた。その日はそのままよく休みをとって、次の日から桂林のすばらしい自然を見て回ることにした。
次の日。朝起きると一瞬で身体の異変に気がついた。しかもけっこう悪い異変だった。高熱が出ていて、寒気を感じ、筋肉痛のような痛みが全身にあり、全身の倦怠感もひどく全然体を動かせない。感覚としてはインフルエンザに近い気がした。また、それまで止まっていた咳もまた出るようになってしまった。これでは、外に出て動き回るなんて到底無理だったので、その日は1日中ホテルにこもって休みをとることにした。
でも、なぜ急にこんな症状が出たのか全く検討もつかなかった。確かに、アメリカに行く直前の12月中旬から空調の影響で咳が止まらなくなってはいたが、その時に高熱や筋肉痛などの他の症状は全くなかった。しかも、アメリカに行ってからはその咳もすぐに治っていて、体調はとても良かった。
アメリカに行くまでの中国旅やアメリカ訪問、アメリカから桂林・陽朔までの強行スケジュールで疲れが溜まっていて、やっと陽朔のホテルで一息つけたからそれまでの疲れがどっと出たのかと思った。それか、単純にインフルエンザかインフルエンザのような症状の出る謎の風邪かとも思った。というのも、僕は以前に東南アジアを旅していたときにも、熱帯性の謎のインフルエンザにかかり(最初は蚊を媒介するデング熱と診断されたが後の詳細な検査ではデング熱ではない原因不明のものと診断された)、高熱と寒気、筋肉痛、倦怠感、鼻血などでかなり苦しんだことがある。
いずれにしても、陽朔で発症した謎の風邪は間違いなくかなり厄介なものだと感覚的にすぐわかった。かといって、風邪でダウンしてずっとホテルにいたのでは後々の旅程が厳しくなる。そこで、僕は風邪薬を飲み、ホテルで安静にし、一刻も早く体調を整えることにした。あーーー、いつ桂林のすばらしい大自然に飛び出せるのか。
時は2020年1月9日。武漢における原因不明の肺炎に関するニュースはあったと思うが、まだそこまで気にかけるような深刻なニュースにはなっていなかった。
桂林市陽朔県の中心部・西街とその周りの奇峰。色々なお店のすぐ周りを囲むように奇峰がいっぱいそり立っている。
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(旅とパンデミック***6, 4月21日)