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色々と問題がありあまり安全なイメージが無いかもしれない新疆ウイグル自治区。しかし、古代シルクロードの中間点として栄えたミドルキングダムの西の果ての大地には、悠久の歴史があり、多様な文化があり、胸おどる絶景がある。ここはミドルキングダムの中でも間違いなくトップレベルの場所だ。本当に何を見てもかなりレベルの高いものが多い。
一方、観光に行く人も少ないので、行きたいと思っていても現地の状況などがなかなかわかりづらい人も多いかもしれない。また、「キャッチー」にするためにあえて煽った感じで書いてある記事などを見て、新疆ウイグル自治区は怖くて観光できないと思っている人もいるかもしれない。
自分は2019年9月に2週間ほど実際に新疆を旅行し、様々なことを聞いて、話して、経験してきた。そこで、自分の経験をこれから行く人に役立てるため、実際に旅行したからわかる「新疆ウイグル自治区を旅行する際に知っておくべき12のコト」をまとめた。新疆ウイグル自治区に旅しに行く人はぜひチェックしてみてほしい。
気をつけることさえわかっていれば、新疆ウイグル自治区の旅はすごく良いものになるはずだ!
ニュースなどで民族対立などが報道されるように、現地の情勢は必ずしも平和的なものではないが、普通の観光客として旅行する分には基本的にどこを旅しても安全だ。
それは良くも悪くも、治安当局による徹底的な安全管理によるものとも言える。実際、報道されて公になっている大きな事件としては、10年前の2009年に起きた「ウルムチ騒乱」が今のところ最後だったとされている。
ただ、新疆ウイグル自治区の情勢は非常に不安定なので、行ってみたい場所があるなら可能な限り早く行っておいたほうがいいだろう。そうでないと何か騒乱が起きて治安が悪化したり、チベットのように外国人は自由に入れなくなったり、今ある歴史的な場所が壊されたりなど、様々な問題が起きる可能性がある。行ける場所はなるべく早く行っておくのが肝心だ。
新疆ウイグル自治区では情勢が不安定なことから、ありとあらゆる場所で安全検査や検問が行われている。例えば、空港、駅、バスターミナル、観光地、ショッピングモール、ホテル、レストランなど。
安全検査や検問では、荷物検査をして終わりの場合と、IDの提示も求められる場合とがある。その場合、外国人はパスポートを示す必要があるので、基本的にはどこに行くにしてもパスポートを持っていたほうがいい。
また、場所によってはパスポートの個人情報ページや中国ビザ、入国スタンプなどを写真に撮られることがあるが、おそらく向こうが念の為に記録を残しておくためにしていることなので、好きでも嫌いでも受け入れざるを得ない。来た人を記録しておく名簿のような紙への記入を求められることもあるが、その場合はこれも受け入れざるを得ない。
安全検査や検問は特に南新疆で厳しい傾向にあるように感じる。
また、外国人だからということで逆にID検査をスキップできるということもあった。あと観光地のチケットを買うときに身分証明証(パスポート)が必要な場所もある。
中国では全国どこでも安全検査が厳しい傾向にあるが、その中でも新疆ウイグル自治区の安全検査は圧倒的に厳しい。「危険物」を非常に警戒しており、他の都市と比べても「危険物」と見なされるものの範囲が圧倒的に広く感じる。
例えば、ナイフやライターが危険と見なされるのは他の都市と同じだが、新疆ではそれに加え、フォークやスプレー系のもの、可燃性のもの/可燃性そうなもの、液体系のものなどを厳しく取り締まっている印象だ。例えば電車に乗ろうとした際、自分が持っていた香水は可燃性だから危険物だと指摘され取り上げられそうになった(でもすごくごねて返してもらいました)。
そのため、自分では危険物だとは思わなくても、新疆の警備の人たちが危険物と思うことがあり得そうなものは、持ち込まない方がいい。安いものでも高いものでも取り上げられてしまう。このような厳しい安全検査は、基本的には空港や駅、バスターミナルなどである。
町中でも様々な場面で安全検査はあるが、ほとんどの場合は形式上の検査をしているだけで、特に厳しく見られることはない。ただその場合でも、ナイフとライターはNGだ。
飛行機や鉄道、バスなどで長距離の移動をする場合は、都市間に検問があることがほとんどだ。その場合、パスポートを使ってIDチェックをする必要があるが、外国人はそれに加えていくつかの質問をされることがあり得る。
例えば、いまどこの都市に向かっているのか、今日はどこに泊まるのか、新疆ではどのくらい旅行するのか、新疆ではどこに行くのか、など。
このような質問をされた際、スムーズに答え特に問題なく検問を終えるためには、自らの旅行計画やホテルの名前・予約などをしっかりと準備しておいた方が無難だ(かといって、うまく言えないと問題になるみたいな怖い感じでもない)。
新疆の厳しい安全検査や検問などでは、荷物の検査に加え、ごく稀に携帯電話をチェックされることもあり得るらしい。そのため、見られては困るような「不都合なもの」は持たない、あるいは見えないようにしておいた方がいい。
例えば、新疆ウイグル自治区や中国の民族問題・政治問題などについて扱った本や記事・写真などは持っていない方が無難だろう。また、ネット規制を乗り越えるのに必要なVPNも基本的には使用が許されている訳ではないので、携帯電話の中であからさまに見えるような感じで入っているのはあまり良くないかもしれない。
携帯電話のチェックは、外国から中国国内を経由して直接新疆ウイグル自治区に向かおうとする場合か新疆ウイグル自治区から外国に出ようとする場合などに、経由地などであり得るらしい。ただ、そのような経験をしたという人はかなり少なそうではある。
軍事施設や警察系の施設などは絶対に写真やビデオを撮ってはいけない。というか、少なくとも軍事施設に関しては法律などで撮影が厳しく禁止されているはずだ。
もし故意でも間違いでも撮影してしまった場合は、軍や警察に無駄な誤解を生んでしまいトラブルになる可能性が大いにある。特に外国人の場合は、スパイなり秘密で何かを取材しているジャーナリストなのかと疑われてしまうことが有り得る。
外国から色々な疑惑を指摘されている新疆ウイグル自治区ならなおさらだ。そのため、写真やビデオを撮るときは要注意。これは、どの国の人にも当てはまるし、中国人にも当てはまるものだ。
例えば、パキスタン国境からカシュガルへとバスで向かっていた中国人が、休憩中に警備施設みたいな建物の写真を何となく撮ってしまったところ警察達に止められ、その人はその場でバスに置いてかれたことがあったと、この出来事に遭遇した人から話を聞いた。
一方で、普通の観光地の景色の中に、何となく警備をしている軍人なり警察なりが入ってしまうことはやむを得ないこともあるので、それは基本的には大丈夫なはず。要するに、軍事や警察系にフォーカスしてはいけないということだ。
また、新疆ウイグル自治区の大自然をドローンで撮影したいという人もいると思うが。確かに、DJIなどのサイトで中国国内の飛行可能区域と不可能区域の地図が確認できる?らしいが、新疆ウイグル自治区の情勢を考えると、よっぽどの田舎で人や建物が全然ないというような場所以外はドローンを使わない方が無難だろう。
自分は新疆ウイグル自治区内にまだいたとき、一度インスタグラム上でカシュガルのリノベーション問題(古い町並みが壊され新しい古い町並みが作られている)について比較的中立的客観的に感じたことを投稿しようとしたが、なぜか投稿することができなかった。
新疆ウイグル自治区のことでも、ただの観光などに関する他の内容は普通に投稿できていたので、どうやら「センシティブになり得る話題」に関しては何かしらのブロックがかかったようだ。
いずれにせよ理由はよくわからないが、中国滞在中はどんな内容であれセンシティブになり得る話題については避けた方が無難だろう。
新疆ウイグル自治区では様々な問題があると日本などでは報道されているが、その新疆の中でも特に情勢が厳しいとされているのが南疆と呼ばれる新疆の南半分だ。観光地でいうと、カシュガルやクチャ、ホータンなどが南疆に含まれる。
南疆でも北疆でも、注意することは基本的に同じだが、南疆の方が警備などが圧倒的に厳しく見える(北疆も厳しいは厳しい)。そのため、南疆を旅するときのほうが、不便なことが増えたり、より注意深くいることが必要だったりするかもしれない。
カシュガルを旅する人に特に人気の観光地に、カシュガルから中国-パキスタン国境地帯へとつながるカラコルム・ハイウェイ沿いにあるカラクリ湖とパミール高原がある。しかし、このエリアは人の行動が非常に厳しく制限されているため、観光客は外国人も中国人も政府系機関が発行する「通行証」がなければ行くことができない。
2019年現在、外国人がカラクリ湖やパミール高原などのカラコルム・ハイウェイ観光に行く方法は二つしかない。
一つ目の方法は、パキスタン国境に近いエリアへ行く「通行証」を取り、ツアーで行くパターン。
まず、通行証は自分でカシュガル地区全域観光客サービスセンター(喀什地区全域旅游服务中心)へと行き、申請することも可能らしいが、基本的にはツアー会社にパスポートを預けると代理申請してくれるので、自分で申請に行く必要はない。通行証は無料で、基本的には申請した翌日には受け取れるらしいが、何らかの理由で2日以上かかることもあり得る。そのため、カラコルム・ハイウェイ観光に行きたい場合はすぐには行けず、まずツアーに申し込み、ツアー会社が通行証を代理申請し、最短で翌日にツアーに行けるということになる。
ただ、カシュガル市内にはツアーを扱っている旅行会社が今では全然ない。
また、非常に厄介な問題は、外国人は中国人と同じツアーに参加することが許されていないので、外国人は外国人のみとツアーに参加しなければならない。しかし、個人旅行などで一緒に行く他の外国人が見つからない場合は、ツアーへの参加が難しくなってしまい、観光に行くこともできなくなってしまう。
二つ目の方法は、カシュガルからパキスタンに向かうかパキスタンからカシュガルに向かう道中、バスの中から見るパターン。
これでも、カラコルム・ハイウェイを通り抜け、カラクリ湖などのきれいさは見えるらしいが、バスを停めたり下車することはできないので、観光はできない。ただ、中国からパキスタンへ越境する場合とパキスタンから中国に越境してきた場合は、「通行証」がいらないらしい。
中国は東西南北に超巨大なため本来であればいくつかのタイムゾーンがあってもいいにも関わらず、どの場所でも全国統一の北京時間を使っている。そのため北京から遥か西に離れた新疆ウイグル自治区でも北京時間を使うと、実際の現地時間とはかなりの時差が生まれてしまう。
例えば、自分がカシュガルを9月に旅した頃は、夜8時過ぎに日が暮れ始めて暗くなるのは9時ぐらいだった。また、ウルムチで朝の8時ぐらいに外を歩いてみると、人はかなりまばらでお店もほとんどがまだ開いていなかった。
そのため、このような時差があるにも関わらず新疆ウイグル自治区でも北京時間が使われているが、実際に旅する時の感覚としては北京時間−2時間で考えた方がわかりやすいだろう。
新疆ウイグル自治区から中国旅行を始めた外国人の友人によると、新疆では外国人がSIMカードを買えない?らしい。これは実際の真偽は不確かだが、新疆の情勢を考えると全然あり得ることなので、SIMカードの購入を考えている人は新疆ウイグル自治区に入る前に他の都市で買った方が良さそう。ちなみに、その外国人の友人は新疆の隣にある甘粛省に入った途端SIMカードが買えるようになったらしい。
新疆はもうほぼ中央アジアに位置し、標高の高い場所も多いので、冬に旅するのはかなりしんどい。寒いことはもちろん、観光地の閉鎖や交通手段の停止・減便などがあるので、場所にもよるが冬の新疆旅はあまり楽しめなさそう。一方で、春には花が咲き乱れ、秋には紅葉がキレイに見えるところが多い。
特に、カザフスタンに近い西部イリ(伊犁)やロシアに近い北部アラタイ(阿勒泰)などが絶景だと有名。ウルムチ郊外にある天山天池もかなりキレイ。夏も旅行できるが、逆に暑すぎてしんどいところもある。例えば、トルファンは中国全体で一番暑いとされている場所なので、本当に倒れるんじゃないかってくらい暑い。またカシュガルもかなり暑い。一方、イリやアラタイなどは過ごしやすくなるかもしれない。。
▶︎まとめてみると結構色々とあった笑。そして新疆ウイグル自治区だけに当てはまるものも結構ある。ただ、誤解しないでほしいのは、これらの注意点さえ認識して普通の観光客として旅行していれば、新疆ウイグル自治区の旅に大した問題は特に何もないということだ。
確かに、安全検査や検問などはすごく面倒くさい。ただそれさえ我慢すれば、日本のこんな近くで歴史なり大自然の絶景を見ることができる!それだけレベルが高い!なので、興味のある人は可能な限り早く新疆ウイグル自治区を旅することをおすすめする!絶対そうなってほしくはないが、いつ新疆の情勢が悪化してまた外国人が自由に旅をできなくなるかもわからない。