香港の”モンスターマンション”。僕は香港入りしてからマスクをしていたが、周りの様子は特に変わりなく、観光客も普通にいた。
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1月上旬にアメリカから中国に戻って来ると体調が悪化し、そのまま桂林、海南島、深センと旅を続けたが一向に体調が良くならない。一方、”武漢における謎の病気”が新型コロナウイルスだと徐々に判明し、不穏な病気が武漢で流行っていて大変そうだということが報道で広く知られるようになってきた。
ちょうどその頃(2020年1月20日)、旅を続けていた僕は次の目的地・香港へと入った。香港では、新型コロナウイルス問題による影響が特にまだ何もなかった。でも、僕は香港に入って以降は常に3Mマスクという高性能マスクをし始めるようになった。
それは、他の人から自分への影響を気にするというよりは、むしろ自分から他の人への影響を心配していたからだった。僕は自分が新型コロナウイルスに感染していることはないと思っていたが、それでも自分の症状と報道されていた新型コロナウイルスの症状が似ていて心配だったので、もしものために他の人に影響しないようにしたかった。また、相変わらず深くて大きな咳がたくさん出ていたので、「あいつやばいんじゃないか」と見られることも避けたかった。
この段階では、3Mマスクのような”ガチなマスク”をしている人はいなかったので、香港を歩いていると「なんだこいつは」みたいな感じで見てくる人がけっこういた。ただ、そんな肩身の狭い状況も一瞬で変わった。
僕は香港を周り終えると、次は1月22日に隣のマカオへと入った。マカオは観光都市というだけあって、このときでもかなり多くの観光客で賑わっていた。でも、普段と違ったのは、街中にマスクをしている人がかなり増えていたことだった。
香港、マカオ、中国大陸の珠海をつなぐ港珠澳大橋。
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この段階で、既に3割程度の人がマスクをしていたように感じた。そして、次の日・1月23日にはまたマスクをしている人が一気に増えていて、もう半数以上の人がマスクをしていたように感じた。1月23日の夜に通りかかった薬局に、かなり長い行列ができていたことも印象的だった(おそらくマスクを買おうとしていたと思われる)。また、1月23日の時点で、マカオのほとんどの観光地では入場者の体温検査をしていた。
1月23日は「武漢封鎖」という衝撃的な対策が発表された日でもあった。それらのことから問題の深刻さも一気に認知され、ついにはマカオをはじめとする中国各地の春節イベントが急に中止になった(特に1月24日深夜以降様々なイベントが行われる予定だった)。本当であれば、僕はマカオで春節を祝う花火などを見るために1月24日か25日まで延泊しようと考えていたが、その矢先にホテルのロビーで中止の知らせを聞き困惑した。
そして、僕は”何もなくなってしまったマカオ”から泣く泣く退散することを決めた。時は1月23日の夜。僕は急遽マカオを出て、次の都市に向かった。事態のあまりの急展開に不確かなことが多すぎたが、何としても中国の春節を体験してみたかった。
マカオの歴史地区に残る西洋建築と春節の飾り。写真の雰囲気通りマカオでいろいろな春節イベントを見られる予定だったが、結局全て直前になって中止になった。
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マカオの様子はほぼ普通だったが、マスクをしている人や観光地での体温検査を見るようになっていた。
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(旅とパンデミック***9, 4月28日)