コロナ流行直前に経験した体調不良について(***14)

2020年5月25日

 

広州での”コロナ生活”

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12月から徐々に武漢における”謎の病気”が騒がれ、1月から急速に”新型コロナウイルス”の問題が深刻化してきた中、それでも僕はギリギリまで中国旅を続けていた。しかし、1月23日から武漢封鎖が始まると、翌日から各地の観光地やイベントが次々に閉鎖され、安全に都市間移動をすることもできなくなった。だから、僕は春節の花市を楽しむために1月24日に広州に辿り着いて以降、旅を中断しなければならなかった。

 

12月から1月24日までの間、僕にとって新型コロナウイルスという問題は基本的にニュースの中の他人事だった。でも、1月20日あたりから他人事とは思えない事情があったので、今回はそのことについて書いておきたい。

 

ズバリ、僕は12月と1月に体調を悪くしたことが1回ずつあった。ただ体調が悪いだけなら気にしないのだが、その時の症状は1月中旬以降くらいに報道されていた新型コロナウイルスの症状ととても似ていた。しかも、僕は中国旅の中で11月中旬に武漢を訪れていた。

 

まず、1回目に体調が悪くなったのは、雲南省の奥地・シャングリラに12月16日に到着してからだった。僕は11月中旬に湖北省の武漢を訪れて以降、湖南省、貴州省、雲南省と旅をしてきていた。この時期のこの旅路はとても寒い場所が多かった。一方、僕が泊まれるような安宿では大抵しっかりとした暖房がなかったので、僕はいつも凍えていた。ただ、シャングリラは違った。

 

シャングリラは海抜3000mほどの僻地にあるので、外の気温自体はむしろそれまでの場所以上に寒くてつらかった。しかし、(最高に嬉しかったことを今でも覚えているが)シャングリラの安宿にはちゃんとした暖房が備わっていて、部屋をポカポカに温めることができた。僕はいつも凍えるような思いをしていたこともあり、この日は 暖房をつけるとあまりの心地良さにそのまま寝落ちしてしまった。

 

体が痛くなるような/心が悲しくなるような寒さがあったシャングリラ

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でも、これが問題だった。次の日(12月17日)から、かなり深くて大きな咳が頻繁に出るようになってしまったのだ。

 

実は僕は、12月20日から1月7日までアメリカに行く予定があった。しかし、アメリカ渡航前にひどい咳が治ることはなく、アメリカでも咳をしていた。ただ、クリスマス過ぎくらいにやっと咳が治り始め、それ以降は何の体調不良もなくなった。これが1回目の体調不良だった。

 

この1回目の体調不良は、暖房をつけっ放しにして寝たことでのどが乾燥にやられて起きたものだと思った。というのも、僕は乾燥に影響されやすく、以前にも空調をつけたまま寝たことでのどを悪くしたことが何回かあったからだ。また、確かにこの時の咳はかなりひどかったが、それ以外の症状は何もなかった。発症から治るまでには10日間ちょっとかかったが(薬なし)、それ以降体調はとても良くなっていた。

 

ちなみに、僕は12月下旬あたりから武漢における”謎の病気”についての報道を見ていたが、この時はその問題と自分の体調不良を関連させて考えることは全くなかった。発祥の経緯や症状が過去に経験したことがある咳ととても似ていたからだ。

 

 

2回目に体調が悪くなったのは、1月8日にアメリカから桂林へと戻ってきた直後だった。桂林に着いた翌朝からインフルエンザのような体調不良に陥った。1月8日の夜に桂林のホテルに着いて寝るまでは何の問題もなかったので、朝起きた後に高熱や寒気、筋肉痛、倦怠感、咳などの症状が出ていたことは異常に感じられた。本当であれば、すぐに中国旅を再開しようと思っていたが、あまりの体調不良でまともに動けなかったのでその日はホテルで安静にしていることにした。

 

桂林では天気も悪く寒かった(逆に水墨画感が出てるかも?)

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桂林市内の夜景はきれいだった

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次の日になると、高熱は下がったように感じたが、寒気や筋肉痛、倦怠感、咳はまだ残っていてかなりしんどいかった。ただ、前日ほどはひどくなく、なんとか体を動かすこともできたのでこの日から外に繰り出すことにした。これからというもの、桂林や海南島の自然をアクティブに旅して回ったが、体の違和感や寒気などが抜けることはなく、咳もかなり深くて大きかった。海南島のきれいなビーチでは海水浴を楽しんだが、その間も咳や寒気がつらかった。

 

体調が悪かったものの、桂林では奇峰を登って楽しんだ(天気が悪い…!)

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海南島ではきれいなビーチに興奮していっぱい遊んだが、寒気と咳がつらかった

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海南島の次は、1月18日に広東省の深センに飛んだ。深センでは日本人にインタビューする予定があったので、その方が運営するシェアハウスに行った。でも、この時もひどい咳が治っていなかったので、その方や他の宿泊者に「まさか武漢のやつじゃないよね?」と心配されてしまった。ちょうどこの頃になると、”武漢の謎の病気”も大きく報道されるようになってきていて、僕自身も「まさかこれがそうじゃないよな」と心配し始めるようになった。報道されていた症状と自分の症状が似ているように感じたことや僕が2ヶ月前に武漢を訪問していたことも心配要因だった。

 

11月中旬に訪れた武漢。夜景のライトアップがエグすぎて度肝を抜かれた。写真の川は長江。

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1月20日、僕は次の目的地の香港へと入った。この時になると気づかないうちに体の違和感や寒気などはなくなっていたが、深くて大きな咳は残っていた。なので、僕は1月21日から3Mマスクという高性能マスクをつけ始めた。それは、他の人から自分への影響を気にするというよりは、むしろ自分から他の人への影響を心配していたからだった。僕は自分が新型コロナウイルスに感染していることはないと思っていたが、それでも、もしもときに他の人に影響しないようにしたかった。

 

香港ではマスクをしている人がまだあまりいなかった

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1月22日、僕はマカオへと移動したが、まだ大きな咳が出ていた。しかし、新型コロナウイルスの問題が広く認識され始めたことにより、マカオでは多くの人がマスクをつけ、公共の場所では体温検査をするようになっていた。こうなってくると、もはや咳をすることは”タブー”になっていた。

 

僕は、このまま咳をしたままだと”ヤバいやつ”に見なされてしまうと思い、「咳!なんとか止まれ!!」と本気でこらえようとした。すると、1月23日からだったと思うが、それまで2週間以上もひどかった咳が急に何もなかったかのようにピタリと消えてなくなった。咳以外の体調不良もなく、僕の身体はやっと万全な状態に戻った。

 

春節直前のマカオ。新型コロナウイルスにより春節ムードは一変し、春節イベントも全て直前で中止になった。

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この2回目の体調不良に関しては、まさに原因不明だった。確かに僕がアメリカに行く前は咳がひどかったが、それもアメリカに行って以降は完璧に治っていた。また、アメリカで体調が悪い人と接触するようなこともなかった。時期が時期だけに、新型コロナウイルスなのだろうかとも心配した。しかし、報道では潜伏期間が2週間程度とされているにも関わらず、僕が体調を悪くしたのは武漢に行った日から1ヶ月半以上後だった。

 

アメリカに行く直前に訪れていた中国国内の他の場所(雲南省や広西チワン族自治区)あるいはもしかしたらアメリカで感染したということも考えられるかもしれない。ただ、僕の周りで僕と交流した後に体調を崩したという知り合いは誰もいなかったので、新型コロナウイルスの感染力が強いということを考えれば、僕の体調不良は新型コロナウイルスではなかったのだろうと感じる。

 

となると、単純にインフルエンザだったのかもしれないし、あるいは原因不明の体調不良だったのかもしれない。実は、僕は以前東南アジアを旅していた時、”インフルエンザのような病気”で急に今回と似た体調不良(高熱や寒気、筋肉痛、倦怠感、咳など)になったことがあったので、その時と同じようなものかもしれない。その時、現地や日本でしっかりと検査を受けたが、結局、原因不明だと言われた。いずれにしても、今回の体調不良が大したことではなくてよかった。

 

ちなみに、2回目の体調不良を治すためにしていたことは、風邪薬を飲むこと、のど飴を舐めること、ハチミツを飲むことだった。これらをしても咳だけが治っていなかったが、結局最後は「咳をしていたらヤバいから治さなきゃ」という危機感と気合で治した。

 

2回目の体調不良が全快した1月23日の次の日から、僕は広東省の広州に3ヶ月半ほど滞在することになった。新型コロナウイルスの流行により、中国各地を旅してまわることができなくなってしまったからだ。

 

広州では旅をできない代わりに多くの動画を制作した

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中国では、1月や2月が特に新型コロナウイルスの問題が深刻になった時期だった。でも、幸いなことに、この期間中と5月中旬に広州を離れるまで、僕が体調を崩すことは全くなかった。

 

5月中旬、僕はまともに再開することが不可能になってしまった中国旅をひとまず切り上げ、日本へと帰国した。この時、空港の検疫所で新型コロナウイルスのPCR検査があった。そして、この時の結果も「陰性」だった。

 

抗体検査をしていないので過去に感染したことがあるかどうかはわからない。しかし、とりあえず僕は、無事に帰国することができたようだ。

 

12月と1月、僕は不思議な体調不良を経験したので、ここに記録を残した。

 

 

そういえば、新型コロナウイルスかはわからないけど、年末年始にかけて他にも謎の体調不良になったよーって人はいましたね。

真相は謎のままだけど…

 

 

(旅とパンデミック***14, 5月25日)

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