雲南省麗江の郊外にある玉龍雪山の藍月谷。自然だということが信じられないほど水がエメラルドグリーンに澄んでいてきれいだった。冬の麗江は寒かったが、それよりも奥地にあるシャングリラはもっと寒かった。
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雲南省の奥地・シャングリラの寒い夜道を歩いた末に見つけた暖房機でポカポカの部屋。その心地良さで僕は寝落ちしてしまったが、朝起きると体に異変があった。
咳がいっぱい出るようになってしまった。おそらく空調を使いながら寝てしまったから、乾燥でのどを痛めてしまったのだと思った。というのも、僕は乾燥に弱く、以前にも空調を使って寝たことでのどを痛めたり咳が出るようになったことが多くあった。例えば、タイを旅していた時も空調を使ったまま寝てのどを痛めてしまい、日本帰国後に1ヶ月以上咳が止まらなかった。その時はあまりに咳が止まらないので病院にも行ってみたが、ただ乾燥でのどを痛めただけだと言われた。
12月中旬にシャングリラから出るようになってしまった咳は、その後しばらく止まらなかった。
シャングリラを見終えると、僕は広西チワン族自治区に急いだ。数日後に広西チワン族自治区にある桂林からアメリカへと飛ぶ予定になっていたからだ。ただ雲南省の奥地・シャングリラから陸路で広西チワン族自治区まで行くのは遠すぎるので、シャングリラの隣町・麗江から飛行機に乗った。着いた町は桂林ではなく、広西チワン族自治区の首府・南寧。時間は全然なかったが、桂林に行く前に中国とベトナム国境近くにある世界遺産・花山岩画を見に行きたかった。そして、飛行機に間に合うかビクビクしながらも、花山岩画を見て、南寧の海鮮夜市を楽しみ、夜行列車で桂林に着くことができた。
広西チワン族自治区に来てからはとても気分が良かった。12月なのに暑くも感じるほど暖かく、Tシャツ1枚で外を歩き回れた。かなり海抜の高く寒かった雲南省の奥地とは大違いだった。
でも、のどの状態は変わらなかった。相変わらず、かなりダイナミックな咳がひっきりなしに出ていた。困ったなとは思っていたがただの咳だったので特に心配はしていなかった。周りの人も、僕が咳をしていても何も気にしていなかった。そして、とうとう僕はその状態で桂林からアメリカへと行く飛行機に乗った。
時は2019年12月20日。新型コロナウイルスなんて問題は誰も話していなかった。
シャングリラと麗江の間にある虎跳峡。高低差3000mもあるらしい超深い峡谷。5000m以上ある山の上には氷河があり、谷底には長江の上流が流れている。かなり寒かったが迫力のある絶景だった。トレッキングの聖地でもある。
(旅とパンデミック***4, 4月18日)