日英中3ヶ国語の字幕をつけた武漢の動画
—————————————————————————-
武漢で新型コロナウイルスが深刻化し都市封鎖がはじまったとき、僕は急いで武漢に関する動画を公開した。「武漢ってどんな場所なのか」、それが伝えたくて制作したものだった。
当時、世の中には武漢に関する残念な報道や言動があふれていたこともあり、僕の動画は「これがあの武漢か!」という良い驚きを持って迎えられた。
まず、Twitterで多くの日本人に拡散され、その後、非常に大きな中国メディア等によって多くの中国人に拡散された。Twitterでは、当初は視聴回数が5000回に届けば僕の小さな影響力からすれば成功だと思っていたが、あっという間に1万再生を超え、結果的に2万弱ほどにまでなった。また、普段は全然伸びなかったFacebookでも、1500回以上の再生があった。
再生回数が増えるにつれて、多くの日本人から温かいコメントももらった。
また、動画を公開して数日経ったあるときから、急に中国人からのコメントやメッセージが増えた。でも、僕はなぜ急に中国人からのコメントが増えたのかわからず困惑していた。すると、北京大学で僕のラングエージ・パートナーだった中国人の友達から久々に連絡が来た。
「武漢の動画見たよ!とっても良かった、本当にありがとう。」
「・・・それは良かったけど、なんで武漢の動画のこと知ってるの??!」
僕がこう聞くと、彼女はあるリンクを送ってきた。
https://m.weibo.cn/1799773611/4466117680513034
<日語学習(中国語):武漢の動画共有>
https://mp.weixin.qq.com/s/4Abdo9iSqn1snX5X1W-FCg
<日語学習(中国語):日本の新型コロナウイルス/中国に関する対応を紹介した記事>
「このツイッターアカウントのKazukiは武漢を旅行した後、みんなに本当の武漢とはどのような場所なのかを伝えるために動画をつくり、しかも動画の最後には”武漢がんばれ 中国がんばれ”と書いて、みんなもいつか機会があれば武漢に行ってみるよう話している・・・」
それは僕の動画をシェアしたWeibo(中国版Twitterのようなもの)の投稿だった。ただ共有されるだけならそれまでもたくさんあったことだったが、そのとき僕が驚かされたのが、なんと動画の再生数がすでに数万回になっていたことだった。
それもそのはず、動画を共有してくれたアカウントは「日语学习」という日本語学習者向けのアカウントで、フォロワーは400万人もいた。日本人の場合だと、多くて1万人くらいのフォロワーがいる人にシェアしてもらえるだけだったが(もちろんそれもとても嬉しかったし助かった)、でもそれが中国になると急に400万人って・・・。
さすが中国、スケールの大きさを改めて痛感させられた(ビジネスなどでよく聞くような”中国マーケットの大きさ”も身を持って理解できた笑)。
400万フォロワーって・・・(でも中国ではそれでもまだまだ”しょぼい”)
—————————————————————————-
その投稿のコメントを見ると、僕のTwitterなどに中国人が急増した理由もすぐにわかった。僕の動画に感動した中国人たちが、「ぜひ直接お礼が言いたい!!」と言ってその方法を探し、僕のTwitterアカウントを共有していたからだった笑。
正直、僕は中国人からの反響は全く想定していなかったが、このような形で多くの中国人にも動画を観てもらい喜んでもらうことができたのは、とても嬉しいことだった。中には、「動画に感動したから、もっと多くの中国人に観てもらうために中国語の字幕をつけます」と連絡してきた人もいた。結局、その人はボランティアとしてすぐに全てを中国語に翻訳してくれ、武漢の動画には日英中3ヶ国語の字幕が載ることになった。
また、日本でも中国でも、自分のつくった動画が多くの人に見てもらえたことは良かったが、何よりも嬉しかったのは、この動画がみんなの武漢に対する印象を変えたことであり、武漢に行きたいという人が出てきたことだった。
日本のTwitterと中国のWeiboから寄せられた大きな反響は、さらに様々なことにつながっていくきっかけとなった。
特に重要だったのは、武漢の動画がバズった後に、北京大学から僕に関するインタビュー記事が出たことだった。北京大学(特に僕の通っていた燕京学堂=Yenching Academyというプログラム)では普段から色々な学生をインタビューなどで取り上げていたので、僕がインタビューされること自体はなんとも思っていなかった。内容も武漢の動画だけではなく、様々な話題についてだった。
https://mp.weixin.qq.com/s/8JNAkTwFcP3l0fflz9V1ow
<北京大学燕京学堂(中国語):インタビュー記事>
https://mp.weixin.qq.com/s/Vl8EDn403lIMSKvE1_9iTg
<北京大学(英語):インタビュー記事>
https://mp.weixin.qq.com/s/TfrH4M0ozOy0ZkhRALAudA
<北京大学(中国語):記事>
でも、さすがは中国の名門校。北京大学から出されたインタビュー記事は多くの人の目にとまることになり、特に、武漢の動画に注目したいくつかの中国メディアから一瞬で取材申し込みがあった(そもそも各種プラットフォームにおける北京大学のフォロワーはそれなりに多い)。そして、Wechatで少しやり取りをするだけで一気にメディア出演が決まった。さすがの中国の速さだった。
その後は、新聞・ラジオ・ネットニュースなどで武漢の動画や新型コロナウイルス、僕自身のことなどについて話した。武漢の動画自体も、テレビのSNSアカウントや各種ホームページなどで共有された。その結果、中国では日本よりも遥かに多い数十万回の再生があった。ただ、いろいろな場所で共有されたので正確な合計はわからない。
http://paper.people.com.cn/rmrbhwb/html/2020-04/25/content_1983745.htm
<人民日報(中国語):インタビュー記事>
https://m.youtube.com/watch?v=KRm65Y5vecQ
<CGTN(英語):武漢の動画共有>
http://m.china.org.cn/orgdoc/doc_1_76796_1549065.html
<中国網(日本語):新型コロナウイルス問題について寄稿>
https://m.ximalaya.com/waiyu/15453652/265083137
<中国国際放送局(日本語):インタビュー>
http://www.chisa.edu.cn/rmtycgj/202003/t20200323_309854.html?from=groupmessage&isappinstalled=0
<神州学人(中国語):インタビュー>
武漢の動画がヒットしたことは、それまで情報発信に苦悩していた僕にとってすごく嬉しい1歩・小さな成功だった。特に、動画が武漢に関するものだったということもとても感慨深いことでもあった。
というのも、武漢は僕が初めての動画を夜な夜な制作してYouTubeに投稿した場所だったと同時に、情報発信について特に悩んでいた場所だからだ。僕は武漢で悩みながらも、「武漢の美しい姿を撮影して発信するんだ」と思ってビデオと写真を撮り貯めていた。それが、こんな予想もしなかった形で活かすことができたのは本当に良かった。
武漢で夜な夜な苦悩しながらつくりあげた初めての動画
—————————————————————————-
武漢の動画以降、僕はコロナのせいで広州からずっと動けなかったこともあり、動画制作に力を入れることにした。3ヶ月半ほど広州のホテルにいた間、15本以上の動画をつくりYouTubeで公開した。
武漢の動画は「タイミング」というとても重要な要素などが揃っていたこともありバズったが、それ以外の動画はまだそこまでの反響を得られていない。でも、僕は武漢の動画で「武漢ってどんな場所なのか」伝えられたように、これからも様々な動画などを通じて「”中国”ってどんな場所なのか」を伝えていきたい。だって、中国っておもしろいから!!
あと、中国系の媒体だけじゃなくて、もっと日本系でも取り上げられてもっと多くの日本人にアプローチしたい。今回は中国系ばかりだったが、僕が取り組みたいのは日本人だ。
がんばろう。
https://www.youtube.com/c/MiddleKingdomAdventure/featured?view_as=subscriber
(YouTubeチャンネル:ミドルキングダムの冒険)
(旅とパンデミック***16, 8月21日)